がんばらにゃ2013年12月号
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2013.12月号4㎍/㎥5040302010 0食の安全安心を考えるVol.15食にまつわるちょっとした疑問について科学ライターの松永和紀さんがわかりやすくお伝えします。吸い込む時と食べる時異なるPM2.5の影響 冬になると、PM2.5が騒がれます。工場や自動車、ボイラーなどから排出される微粒子のゴミや化学物質なので、隣国中国は寒くなる冬、ボイラーなどにより排出量が増えるのです。大気汚染は深刻ですが、人が吸い込む時と食べる時で、受ける影響はまったく異なります。 この秋、中国へ行ってきました。上海市で開かれた会議に出てから、3時間ほど行ったところにある南通市の農場や冷凍野菜工場などを取材しました。日本で報道されているほど大気汚染がひどいわけではなく、南通市は一日中、見事な青空。汚染が全土を覆っているというわけではないのです。 PM2.5というのは、さまざまな大気汚染物質のうち、粒径2.5㎛(1㎛は0.001㎜)以下の小さな粒子のこと。ものの燃焼などによって直接排出されるものと、硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、揮発性有機化合物(VOC)などのガス状の物質が粒子化したものとがあります。 PM2.5を吸い込むと肺の奥深くまで入りやすく、日常的に多く吸い込んでしまうことによる肺がん、呼吸系や循環器系への影響が懸念されます。北京市やその周辺は人口が多く、車の所有割合も高いうえ、冬場は暖房用にボイラーをたくため、PM2.5が大量発生します。日本、とくに日本海側の街に飛んでくるのでは、と気になりますね。福井県には24時間測定する大気汚染測定局が98設置され、県衛生環境研究センターのウェブサイトで公表されていますが、これまでのところ問題のある数値が持続する状況にはありません。 では、中国産の食品への影響は?食べる場合には、口、食道を通って胃腸に入るので、吸い込んで肺に入るのとは影響の及ぼし方が違います。週刊誌などの報道の多くは混同していますので、要注意です。 PM2.5が仮に食品に付いていたとしても、PM2.5を構成している有機化合物や硫黄酸化物などはどれも、食品にもともと含まれています。その量に比べれば、PM2.5の量はごく少なく、同じように消化されるため、心配ありません。PM2.5には発がん物質が付いている場合もある、と指摘されますが、これもごく微量です。実は食品にもさまざまな自然由来の発がん物質が含まれていて、PM2.5だけを心配しても仕方がありません。 ともあれ、PM2.5の食品に関する不安は、持たなくても大丈夫。吸い込む方が気になる方は、県の公表する大気汚染測定局のデータをチェックしてください。 実は、タバコからもPM2.5が排出されます。日本の喫茶店の喫煙室は、中国の一部地域の深刻な汚染並みのPM2.5濃度で、発がん物質もいっぱい、という報告もあります。隣国の影響だけでなくタバコも要注意です。消化されるため食品は影響なし食品の安全性や環境影響等を取材している科学ライター。京都大学大学院農学研究科修士課程修了(農芸化学専攻)。毎日新聞社に記者として10年間勤めたのち独立。「メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学」(光文社新書)で科学ジャーナリスト賞2008を受賞。消費者団体「FOOCOM」(フーコム)を設立し、「FOOCOM.NET」(http://www.foocom.net/)を開設した。昨年末『お母さんのための「食の安全」教室』(女子栄養大学出版部)を刊行。松永 和紀さんPROFILE福井市内で2012年12月から2013年3月にかけて測定された微小粒子状物質(PM2.5)の推移。環境基準は年平均値15㎍/㎥以下かつ日平均値35㎍/㎥以下。福井では、一時的に環境基準を超えることはあるが持続はせず、注意喚起を行う暫定的な指針値である70㎍/㎥を超えたことはない。福井県の微小粒子状物質(PM2.5)測定結果2012年         2013年福井県 大気汚染情報 より12/1  12/15   1/1   1/15    2/1   2/15   3/1   3/15   1日平均

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