がんばらにゃ2015年7月号
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食にまつわるちょっとした疑問について科学ライターの松永和紀さんがわかりやすくお伝えします。子どもの事故を表示変更で防ぐ5つの栄養成分の表示義務化で選びやすくVol.24 2015年4月1日、「食品表示法」が施行されました。みなさんが手に取る食品のパッケージの表示がこれから変わります。表示には、事業者が消費者に伝えたいことがぎゅっと凝縮されています。食の安全にかかわる大事な情報もいっぱい。じっくりと見て賢く選ぶ消費者になりましょう。アレルギー、栄養成分…食品表示制度が変わります 事業者にはこれまで、さまざまな表示義務が課されていたのですが、3つの法律が絡んでいて大変わかりにくいものでした。そこで、新法により一元化が図られました。変更点は多岐にわたるので、詳細を知りたい方はぜひ、消費者庁のウェブサイト                     を見てください。 今回は、消費者に影響の大きい①アレルギー表示の変更、②加工食品の栄養成分表示の義務化、③食品添加物の表示レイアウトの変更、④新たな機能性表示食品制度の創設ーの4つを簡単に説明しましょう。 ①のアレルギー表示は、患者さんがアレルギー原因物質を避けられるように、加工食品製造において、アレルギーを引き起こしやすい原材料を使った際に明示するものです。 従来、表示を省略できる場合があり、たとえば、原材料としてマヨネーズを使っても、卵を含むのは常識だから、という理由で(卵を含む)と付ける必要がありませんでした。しかし、新制度では、「マヨネーズ(卵を含む)」と書かなければいけません。 子どもが「マヨネーズには卵が使われている」と知らずに食べて発症する事故が起きたりしたため、だれでも見てわかるようにしよう、ということになったのです。パン、うどんなどは(小麦を含む)、醤油や味噌なども(大豆を含む)ときちんと表示されます。 ②の加工食品の栄養成分表示は従来、事業者が自主的に行っていましたが、一部の小規模事業者の販売製品などを除き義務化されます。対象は熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量の5つの成分。合わせて、飽和脂肪酸と食物繊維の表示も推奨されます。 ③の食品添加物の表示レイアウトの変更は、原材料と添加物を消費者が区別できるように、その間にスラッシュ(/)という記号を入れたり改行したりするなどして、明示するやり方が決まりました。 ただし、新制度は加工食品及び添加物については5年、生鮮食品については1年半の猶予期間があります。事業者は、現在の容器や包装を使い切り原材料や製法などを調べ、間違いのない表示をできることを確認してから、新表示に移行します。 次回は④の新設された機能性表示食品制度について、解説しましょう。表示の事例PROFILE食品の安全性や環境影響等を取材している科学ライター。京都大学大学院農学研究科修士課程修了(農芸化学専攻)。毎日新聞社に記者として10年間勤めたのち独立。「メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学」(光文社新書)で科学ジャーナリスト賞2008を受賞。消費者団体「FOOCOM」(フーコム)を設立し、「FOOCOM.NET」(http://www.foocom.net/)を開設した。2012年『お母さんのための「食の安全」教室』(女子栄養大学出版部)を刊行。松永 和紀さん   (http://www.caa.go.jp/foods/index18.html)加工食品は、5つの成分の表示が義務化される。表示単位は、食品の種類により、1個や1包装、100g、1食などさまざまなので、注意深く読み取る必要がある。また、小規模事業者が販売するものや極めて短期間で原材料が変更されるもの、表示可能面積が小さい製品などは、栄養成分の表示はしなくてもよい。栄養成分表示(1個)熱量たんぱく質脂質630kcal3.4g3.3g23.1g炭水化物126.7g食塩相当量2015.7月号4

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