がんばらにゃ2015年10月号
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 消費者が個々の食生活の参考にできる「栄養成分表示」は、とても重要です。国際的にも関心が高く、大量の項目が加工食品に表示されている国もあります。でも、表示されているから健康になれるわけではありません。表示から情報を読み取り使いこなす力が、消費者ひとりひとりに求められているのです。加工食品の栄養成分表示活用して、健康な生活を 日本では従来、大企業を中心に自主的な栄養成分表示が行われてきました。2015年4月に施行された食品表示法により、加工食品の容器包装に栄養成分を表示することが義務づけられました。正しい表示をするには準備が必要なため5年間の猶予期間が設けられ、2020年度に完全移行します。これから中小企業の製品でも、栄養成分を表示したものが増えてゆくことでしょう。 新制度で必ず表示しなければならない項目は、熱量(エネルギー)、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量です。表示の単位は、可食部分100gや100㎖、1食あたり、1包装あたりなど、メーカーが選ぶことができます。 たとえば、清涼飲料水は100㎖あたりの数字が書かれていたり、1本あたりの数字が書かれていたり、まちまちです。100㎖あたりの数字が書かれている製品(500㎖入り)を全部飲んだ場合に摂取するのは、すべて表示の数値の5倍量です。まずは、表示の単位を注意深く見てください。 食塩相当量は従来、ナトリウムとして表示されていたもの。食塩の正式名称は塩化ナトリウムで、ナトリウム1gを摂取するということは、食塩としては2・54gの摂取に相当します。2019年度まではナトリウムの量を表示した製品が残りますので、その場合には2・54倍して食塩の摂取量を計算してください。 日本人は食塩を摂りすぎており、東京大学の研究チームなどによる2013年の調査では、男性が平均14・0g、女性も平均11・8g食べています。食塩の摂り過ぎは高血圧、心血管疾患などにつながりやすく、世界保健機関(WHO)は1日5g未満を推奨し、厚生労働省は男性1日8g未満・女性1日7g未満を目標量としています。 国は、5成分の義務表示のほか、飽和脂肪酸、食物繊維の表示も推奨しています。飽和脂肪酸は脂身の多い肉やラード、バターなどに多く含まれ、減らした方がよいもの。食物繊維は豆類、玄米、大麦、野菜などに多く、食べる量を増やした方がよいものです。PROFILE食品の安全性や環境影響等を取材している科学ライター。京都大学大学院農学研究科修士課程修了(農芸化学専攻)。毎日新聞社に記者として10年間勤めたのち独立。「メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学」(光文社新書)で科学ジャーナリスト賞2008を受賞。消費者団体「FOOCOM」(フーコム)を設立し、「FOOCOM.NET」(http://www.foocom.net/)を開設した。2012年『お母さんのための「食の安全」教室』(女子栄養大学出版部)を刊行。松永 和紀さん 食の問題というと、農薬や食品添加物、遺伝子組換えなどが槍玉にあがりがちですが、健康を現実に脅かしているのはこれらではなくむしろ、食べ過ぎや栄養不足、偏食など個人の食生活です。高血圧や糖尿病などの生活習慣病は、食生活を整えることで大きくリスクを低減できるのです。 好きなものを食べ過ぎたり嫌いなものを遠ざけたりしていませんか?栄養成分表示をじっくり見て、食生活改善のきっかけにしましょう。食にまつわるちょっとした疑問について科学ライターの松永和紀さんがわかりやすくお伝えします。エネルギー、食塩…5成分を表示義務化生活習慣病リスクを食事で下げるVol.261袋(150g)全部食べるとするとエネルギーたんぱく質脂質230kcal5.1g1.81g12.8g炭水化物36.9g食塩相当量栄養成分(100gあたり)エネルギーたんぱく質脂質153kcal3.4g476㎎8.5g炭水化物24.6gナトリウム製品は150gだから、1袋全部食べると…ナトリウムは、単位がmgになっているから、gに変えると0.476g。2.54倍掛け算して食塩に換算すると…式:0.476×1.5×2.54=1.81…2015.10月号4

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