がんばらにゃ2017年4月号
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 ふくよかな香りと豊かな味わい、しっかりとしたシャキシャキの食感が人気の九頭竜まいたけ。九頭竜川の源流付近に位置する大野市和泉地区に、その生産工場があります。 「周辺の山では昔からまいたけが採れ、和泉地区の特産品として年間通して生産できないかと長年取り組んできました。2016年、新工場も完成し、美味しい九頭竜まいたけを1年中安定してお届けしています」と語る加藤さん。実は、以前は〝昇竜まいたけ〞という商品名でしたが、「〝九頭竜〞の名称をブランド化したい」という地元の強い思いから、2015年に「九頭竜まいたけ」に改め商標登録したそうです。 新しい工場では、年間100トンの九頭竜まいたけを生産。おがくずを使った菌床の製造から菌の植付け、培養、収穫まで、約70日間かけて一貫生産しています。「一番大事なのは菌床づくり。土台がしっかりしないとうまくいきません」と加藤さん。菌床の原料には、ナラと広葉樹のおがくず、栄養源、水を使用。味や食感を左右する混合割合は、「企業秘密です」といたずらっぽく微笑みます。 完成した菌床は栽培専用の袋に詰められ、高圧殺菌後、25℃以下に冷却。その後、無菌室で九頭竜まいたけの菌を植付けます。「菌を植えて袋を閉じるとき、菌糸の塊が盛り上がれるよう丁度いい空間をつくるのが大事。スタッフがひとつひとつ手作業で、広すぎず狭すぎないよう上部を折り込んでいきます」。密閉した菌床は、夏の自然環境を再現した温度25〜27℃・湿度65〜67%の培養室に運ば大野市和泉地区の特産品九頭竜まいたけブランドれます。菌糸が蔓延したら、今度は秋の自然環境を再現した温度16〜18℃・湿度80〜90%の発生室で、500ルクスの光を24時間照射。1株が500〜600グラム程度に育つと収穫です。「大きすぎても食感が落ちるので、ある程度ハリのある良い状態を見極めています」。 特産品の振興から地元の雇用拡大、地域活性化まで幅広く貢献する九頭竜まいたけ。「新しい工場には見学スペースもあり、県民せいきょうの組合員さんをはじめ、いろんな方に立ち寄っていただきたいですね。今後は生産量を増やし、県内外に九頭竜まいたけを広めていけたら」と真摯に語ってくれました。自然環境を工場で再現し豊かな風味と食感を追求組合員と生産者がともに育てあう生協の産直「大きい部分は天ぷらに、小さい部分は炊き込みごはんにするなど、使い分けてみてくださいね」と加藤さん。洗うと旨味成分が逃げるので水洗いはせず、手で縦にさいて分けるのが調理のポイント。「白い部分も美味しいので、捨てるところなくすべてお召し上がりいただけます」。オススメの食べ方なるべく早めにお召し上がりいただくのが一番ですが、もしも残ったときは、まいたけが呼吸しやすいようパックから出して、キッチンペーパーでやさしく包み野菜室に置くと良いでしょう。ふくよかな香り、シャキシャキの食感 九頭竜まいたけ昇竜〈毎週企画(ふくい~な)〉宅ハたんぽぽツアーの様子上手な保存方法株式会社 昇竜(大野市)統括管理部長加藤 正幸さん1998年、株式会社 昇竜設立。九頭竜まいたけの生産を中心に、地元和泉地区の伝統野菜の加工・販売も手がける。Profile2017.4月号2

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