がんばらにゃ2014年2月号
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2014.2月号4食の安全安心を考えるVol.16食にまつわるちょっとした疑問について科学ライターの松永和紀さんがわかりやすくお伝えします。(g)(年)7.06.05.04.03.02.01.00.0食塩の摂り過ぎ注意高血圧と胃がん防止を 食塩は料理のおいしさを左右する大きな要素です。塩気の効いた魚の干物、たくあん…。ああ、早くご飯を食べたい。でも、ちょっと気をつけて。食塩の摂り過ぎは、高血圧や脳卒中、胃がんと関係していますので、減塩を心がけながらメリハリのある献立を工夫しましょう。 血圧は年をとるに連れて自然と上がって行くものですが、食塩の摂取量が多いと、上昇の幅が大きくなって、高血圧へまっしぐらとなります。また、食塩摂取量が多い人は、脳卒中にもなりやすい、とされています。 さらに、食塩の摂り過ぎは胃がんのリスクも上げてしまいます。とくに、塩辛い干物や塩辛、たらこやいくらなどをよく食べる人は、胃がんにかかりやすいということが、日本人約4万人の食生活と病気の関係を解析した調査からわかっています。 国の定める食塩摂取の目標量は男性で1日に9.0g未満、女性は7.5g未満です。ところが、日本人は平均して男性で10.9g、女性で9.4gの食塩を毎日食べています(2011年国民健康・栄養調査結果)。 日本人は昔、大量の食塩を摂っていました。食品を保存するために食塩を用い、魚の干物や漬物をたくさん食べていたのです。1950年代には男性は平均して1日20g程度の食塩を摂っていたそうです。その後、冷蔵庫が普及して、食品保存のための食塩使用が減り、減塩運動も盛んに行われて、摂取量は減りました。でも、まだ目標達成にはほど遠い状況です。 実は、世界保健機関(WHO)は健康を保つには食塩を「1日に5g以下に」と推奨しています。でも、日本でラーメンやうどんを1杯食べてスープも飲み干すと、この1日の数値を軽く突破すること間違いなし。日本人にとってはあまりにも厳しい、現実離れした目標なので、厚生労働省はまずは達成可能な甘めの目標値を決めている、というのが実情なのです。 したがって、できるだけうす味の食事を心がけてください。塩気の効いた料理は絶対ダメ、としてしまうと長続きしないので、「これは体にはよくないよ」ということを意識しながら、時々のお楽しみに。 減塩は、サプリメントを飲んだりこだわりの食事をしたりするよりもはるかに確実に、健康へと一歩近づける手段。安くて簡単、こんなにいいことはありません。あわせて、野菜やくだもの多めのバランスのとれた食事と適度な運動もお忘れなく。高価なサプリメントよりはるかに確実食品の安全性や環境影響等を取材している科学ライター。京都大学大学院農学研究科修士課程修了(農芸化学専攻)。毎日新聞社に記者として10年間勤めたのち独立。「メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学」(光文社新書)で科学ジャーナリスト賞2008を受賞。消費者団体「FOOCOM」(フーコム)を設立し、「FOOCOM.NET」(http://www.foocom.net/)を開設した。2012年『お母さんのための「食の安全」教室』(女子栄養大学出版部)を刊行。松永 和紀さんPROFILE日本人の減塩はどんどん進んでいると思っていませんか?たしかに、平均食塩摂取量は戦後すぐに比べると大きく減り、国の調査でも下がり続けているのですが、この30年ほど、塩味の濃さに大きな変化はありません。上の図は、エネルギー摂取1000kcalあたりの平均の塩分量の推移ですが、ずっと6.0g前後を摂っています。高齢化が進み平均摂取カロリーが減っているので食塩を摂る量も減っているだけで、“塩味好き”の実態はあまり変わっていないのです。薄味を目指しましょう!出典:「食事摂取基準入門 そのこころを読む」(佐々木敏著、同文書院)エネルギー摂取1000kcalあたりの塩分量(g)1975 1980 1985 1909 1995 2000 2005 2010日本人の目標は男性が g未満、女性は g未満97.5

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