がんばらにゃ2020年10月号
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 「田んぼに自然の生態系を呼び戻し、次世代の子どもたちに安全・安心な美味しいお米を届けたい。そんな思いから、1992年に賛同者の方と越前「田んぼの天使」有機の会を立ち上げ、EM(有用微生物(※))農法による有機米を栽培しています」と語る幸子さん。大切に手がけてきた水田にはコウノトリが訪れ、ホタルや日本一小さいハッチョウトンボなど絶滅危惧種を含む多彩な生き物が生息。雑草が根を張りにくいトロトロの土の層に覆われた水田が、稲の成長とともに自然の生態系を甦らせています。 農薬・化学肥料を使わないEM農法の土づくりは、秋からスタート。米ぬか・魚粉などをEMで発酵させたEMボカシの元肥と、天日塩でEMを培養させた海水活性液を散布し、土をまるごと発酵。春に2回程海水EM活性液を入れ、雑草が生えそろう5月下旬〜6月上旬にしろかきで草対策をし、田植えを行います。 「発酵した肥料はゆっくり効き、越前焼の産地である旧宮崎村は土に鉄分やミネラルが多くEMとの相性が良いため、栄養価が高く粘り気のある、さわやかな甘みと素朴な風味のお米になります」。 2019年1月、越前陶芸村近くの「小曽原ファーム」を統合し、就農7年目となるご子息の高宏さんが代表取締役となって株式会社 田んぼの天使を設立。EM肥料の生産・販売、有機米や自然米の米粉を用いた6次産業化をはじめ、中山間地の農地の保全活動にも取り組んでいます。「山を開拓した水田には自然のダムの役割があります。異常気象による集中豪雨で災害が多発する現在、奥山・里山の水田を守ることは、約7割が中山間地である日本の国土保全にもつながります」と高宏さん。 毎年開くホタルなどの生き物観察会には、組合員さんが親子で参加し、自然の生態系を維持する大切さを学習。また、全国各地から、農家や大学などの研究者たちが視察に訪れています。 「私たちの理念を理解してくださる生協さんや消費者の方々と手を携えながら、これからもともに歩ませていただきたいですね」と幸子さん。親から子へ、水田が守る里山の豊かな生態系を次世代に継承しています。(※)有用微生物…乳酸菌・酵母菌・光合成細菌などEM(有用微生物)農法で生き物と一緒に育つお米親から子へ世代を越えて生態系の大切さを伝える組合員と生産者がともに育てあう生協の産直株式会社 田んぼの天使さわやかな甘みと、素朴な風味 田んぼの天使 有機米こしひかり株式会社 田んぼの天使(越前町)井上 幸子さん、高宏さん経営面積約35ha。現在、30haでいちほまれ、コシヒカリ、ハナエチゼンの有機JAS認定米、特別栽培米、自然米などを栽培する。Profile▲有機田んぼの生き物・ ホタル観察会の様子幸子さんのオススメは玄米入りご飯。美味しく炊くコツは、白米1合に玄米大さじ2~5杯の割合で入れ、「洗米時に、玄米を掌でこする『拝み洗い』をして表面に少し傷をつけておくこと」だそう。玄米は3時間以上水に浸すと良いのですが、洗った玄米と白米を一緒に炊飯器の釜に入れ、翌朝炊けるよう夜にタイマーセットすると手軽に長時間浸水できます。「炊き上がったら、すぐしゃもじで切り返して空気を入れると艶が出てふわっと仕上がります」と高宏さん。「炊飯後、おひつに移すだけでも食感が違う。お米は奥が深いです」。オススメの食べ方田んぼの天使有機米こしひかり田んぼの天使有機米こしひかり宅次回10月4回(ふくい~な)〈〈ハ年内に各店にて取り扱い開始予定〈〈田んぼの天使有機米こしひかり玄米田んぼの天使有機米こしひかり玄米ハ年内に各店にて取り扱い開始予定〈〈2020.10月号4

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