2024.7月号520年以上にわたり家計の見直しをしてきましたが、現在の家計環境は非常に厳しいと言わざるを得ません。こんな時だからこそ家計管理を基本から見直しましょう。3回連載の今回は第1回です。藤川 太さんCFP®家計防衛に関するお役立ち情報を毎月お届けします次回は「家計に潜む埋蔵金を掘り出そう」をご紹介します ここ数年、日本にも本格的な物価高がやってきています。物価高は家計を直撃し、多くの家庭が苦しんでいます。みなさんも「高いなぁ」と日々ため息をついているのではないでしょうか。収入がドンドン上がってくれればいいのですが、残念ながら物価高を上回るような増え方をしていません。私たちは家計管理でこの物価高を乗り切る必要があるのです。 これまで数多くの家計の見直しを行ってきましたが、残念ながら家計の改善には特効薬と言えるものはなく、1歩ずつ階段を上がっていくような作業です。コツコツと当たり前のことを当たり前に実行していくことが大切です。 家計改善の第1歩と言えるのが家計の現状把握です。家計がどのような状況になっているのか分からなければ、プロである私たちもアドバイスする糸口さえつかめません。家計を把握する手法としては、かつては家計簿をつけることが一般的でした。最近では若い人を中心に家計簿アプリを使う人が増えています。 家計簿アプリは、スマートフォンに入れ、使っている銀行口座やクレジットカードを連携すれば自動的に家計データが収集され、分析まで行ってくれる便利なツールです。家計簿アプリを活用すれば家計の現状把握にかかる手間を大きく省いてくれるでしょう。 とは言え、個人情報の漏洩などを心配し、銀行口座などを連携することを躊躇する人もいるでしょう。スマートフォンのカメラでレシートの写真を撮ればデータを読み取ってくれますし、データを手入力することもできます。中には電卓のように簡単に入力できるアプリもあります。自分にあった家計簿アプリを見つけてみましょう。 共働き家計はそれぞれに収入がある分、難しい面があります。こうした共働き家計へ対応するために、夫婦でデータ連携できるものがあります。自分だけで管理する家計データと、夫婦で連携する家計データを分けることもできます。すべての情報を共有している夫婦もいますが、それぞれのプライベートも重視したいという夫婦でもこうした機能があれば便利でしょう。 もちろんこれまで通り家計簿をつけて家計を把握するのも有効です。家計簿をつけるだけで家計が改善するわけではありませんが、次のステップに進むためには必須の情報です。行動しなければ何も変わりません。何となくモヤモヤしていたり、不安に思っているなら、まずは家計の現状把握から始めてみましょう。1968年、山口県生まれ。生活デザイン株式会社 代表取締役、家計の見直し相談センター 代表、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会 理事。「家計の見直し相談センター」で個人向けの家計相談サービスを展開。設立以来センターの相談件数は3万世帯を超える。『やっぱりサラリーマンは2度破産する』(朝日新聞出版)、『世界一かんたんなNISAとiDeCoの得する教科書』(宝島社)など、著書多数。知っておきたい家計防衛術NEWVol.1日本に物価高がやってきた家計簿アプリで家計を把握しよう共働き家計は共有するデータを分けて管理PROFILE家計の把握は家計改善の第1歩
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