がんばらにゃ2024年7月
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福井県防災士会のご協力の下防災に関するお役立ち情報を毎月お届けします62024.7月号近年、全国各地で大雨による洪水などの自然災害が毎年のように発生しています。福井県でも2004年の福井豪雨や、2022年の南越前町の豪雨が記憶に新しいのではないでしょうか。対応も含めて絶対に風化させず、次の世代に伝えていく必要があります。福井県の災害情報がすぐわかる! 梅雨前線の動きが気になる季節です。思い出されるのが、2004年に発生した福井豪雨という方も多いと思われます。福井豪雨は、梅雨前線の活発な活動により嶺北地方の足羽川流域を中心とした限られた範囲で猛烈な雨となり、福井市の中心部や足羽川沿いの山間部の集落に洪水などの甚大な被害をもたらしました。当日の私は、坂井市から■江市に向かっていました。福井市の大安禅寺付近に差し掛かると異様な降り方と出水に出会い、わが目を疑いました。これまでめったに降らないと言われていた、1時間あたり70mmという降雨に、恐怖すら感じました。これは引き返す方が逆に危険だと判断し■江市まで行き、気象情報を確認すると、線状に並んでいる雲が足羽川に沿って長時間に渡り張り付き、表示の雨量が真っ赤な状態となっており衝撃的でした。 気象災害を考える上で重要なのが、西から東への天気の移り変わりです。その意味で、天気の変化を知るのに有効な情報のひとつが、気象庁が発表する防災気象情報の「ナウキャスト」です。「ナウキャスト」では、1時間先までの降水分布を5分間隔で確認することができます。また、県内各市町の雨量や土砂災害の状況を知るのに、「福井県防災ネット」を確認するのも有効です。大雨の際にはこういった情報をこまめに確認し、すぐに避難できるように準備を整えておきましょう。 写真は2022年に発生した南越前町の豪雨後の鹿蒜川の様子です。激しい雨によって水量は一気に増し、川のカーブの部分では水流が遠心力によって堤防を削り乗り越え氾濫につながりました。川が狭くなる部分では、通過できる水量が限定されます。河川の蛇行や狭窄(極端に細くなること)などの特徴は、地区によって異なります。 豪雨では、地域の防災無線などが雨の音や雷で聴こえないこともあります。また携帯電話が使えなくなることもあります。そういった時に、避難するタイミングの地域での共通理解が必要になってきます。避難のタイミングを判断する知識のひとつとなると考えられる地域の伝承には、「川の水量がこの目印を越えたら危険」といった過去の災害を伝えるものも多くあります。自分が住む地域で過去にどんな災害があって、どのような伝承があるのか、ぜひ調べてみてください。また、地域の地形の特徴を知っておくのもいいでしょう。地名(特に旧地名)には、地域の特徴が織り込まれていることもあります。 自然災害は同じ場所で繰り返し起きる可能性が高いです。過去の自然災害を知ることでこれからの被害を最小限に抑え、逃げるタイミングを知ることで命を守ることにつながります。過去の伝承は、未来に活かすための大切な言葉なのです。たかが雨と侮らず、しっかり備えましょう。福井県防災士会 顧問岡本 拓夫さんか ひる▲2022年 鹿蒜川(南越前町)の様子福井工業高等専門学校名誉教授、福井県防災士会前理事長、現顧問。1983年より京都大学北陸観測所(■江市)で院生として研究を開始。以来、福井県を中心として日本海側で発生する地震の研究に従事。東北地方太平洋沖地震(2011年、マグニチュード9.0)より、福井県防災士会に参加、防災についても携わる。きょうさくPROFILE福井県防災ネット地図上で、福井県内の気象情報や各市町の避難情報、道路情報などの防災情報を一元的に把握できます。防災Vol.2たかが天気、されど天気雨を侮るなかれ!くらしに役立つ豪雨の季節〜過去から未来への伝承〜

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