残念ながら家計簿をつけて家計の現状を把握するだけではお金が貯まるようにはなりません。集めた家計の実態を分析することで、家計に潜むムダを発見し、見直すことで、家計は改善していきます。3回連載の今回は第2回です。藤川 太さんCFP®固定費家賃・住宅ローン返済保険料水道光熱費通信費教育費 など2024.8月号7家計防衛に関するお役立ち情報を毎月お届けします次回は「リスクと上手に付き合って運用を楽しもう」 なかなか「お金が貯まらない」と悩んでいる人は多くいます。何も努力していない人であれば貯まらなくて当たり前。でも、長年家計簿をつけていても貯まらない人が沢山いるのはなぜでしょうか。 家計簿をつけるだけでも家計が引き締まる効果が見られることがあります。これは一時流行した「レコーディング・ダイエット」と同様に、お金を使っていることを自覚することが自制につながったものと考えられます。多くの場合で効果を発揮できない原因は、家計の実態の分析がされていないからです。 家計管理は「予算目標設定→データ収集→データ分析→改善」のサイクルを回していくことが大切です。この中のデータ収集が家計簿をつけることです。また、そもそも実現したい予算目標がなければ、いいのか悪いのかも分析できません。家計の支出はただ減らせばいいというものではありません。家庭平和のためにも必要以上に減らさない方がいいですし、減らすにも戦略が必要です。 では、家計の見直しはどこから手を付ければいいのでしょうか。食費やレジャー費、小遣いからカットしていないでしょうか。これらの費目は日々やりくりする「やりくり費」。工夫することで削るならいいのですが、我慢をすることで削りがちなお金です。やりくり費を削ると、生活レベルが下がるため家族から不満も出やすくなります。 一方で、家計の支出には「固定費」と言われる費目があります。銀行口座やクレジットカードから定期的に引き落とされるお金で、家賃、住宅ローン返済、保険料、水道光熱費、通信費、教育費などが該当します。たとえば、ムダな保険を削る、スマートフォンの通信プランを格安プランに変更する、といった見直しをすれば家計は楽になります。やりくり費と違い固定費を削っても生活レベルは下がりませんし、毎日頑張る必要もありません。 ですから、家計改善は固定費の削減から取り組むべきなのです。固定費を削った分だけ、やりくり費の予算は増えていきます。家族の不満も少なくしつつ、お金が貯まる仕組みができあがるのです。 家計の見直しと言うとセコイと軽く見る人がいます。固定費は一度見直すと効果はずっと続きますので、一見すると小さく見える固定費の見直しも長期間で考えるとまとまった効果になるのでバカにしてはいけません。月1,000円の見直し効果でも、1年で1万2,000円、10年で12万円にもなるのです。あなたの家計にもこうした埋蔵金がきっと眠っているはず。1つでも多く探し出して、無理せずお金が貯まる家計を作りましょう。やりくり費食費外食費レジャー費被服費小遣い などをご紹介します1968年、山口県生まれ。生活デザイン株式会社 代表取締役、家計の見直し相談センター 代表、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会 理事。「家計の見直し相談センター」で個人向けの家計相談サービスを展開。設立以来センターの相談件数は3万世帯を超える。『やっぱりサラリーマンは2度破産する』(朝日新聞出版)、『世界一かんたんなNISAとiDeCoの得する教科書』(宝島社)など、著書多数。PROFILE家計簿をつけるだけではお金は貯まらないやりくり費より先に固定費の無駄をなくそうちりも積もれば山となるVol.2知っておきたい家計防衛術家計に潜む埋蔵金を掘り出そう
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