2024.9月号7家計を把握し収入の範囲内で生活できるようにする。固定費を見直すことで家計を改善し、お金が貯まる仕組みをつくる。そして、最後の仕上げが資産運用です。増やすことより、リスクと上手に付き合う方法を学びましょう。3回連載の今回が最終回です。藤川 太さんCFP® 2024年に入り資産運用ブームと言ってもいいほど多くの方が資産運用を始めています。NISA(少額投資非課税制度)が大幅に改正されたことがきっかけです。 制度改正の目玉は非課税枠の拡大と非課税保有期間の無期限化です。非課税限度額はつみたて投資枠が年120万円、成長投資枠が年240万円へと拡大されました。しかもそれぞれの枠を併用できるようになり、1年に最大360万円、総枠で1,800万円まで非課税で投資できることに。このように少額投資とは言えないレベルにまで拡充されました。これから資産運用を始めるなら非課税メリットのあるNISAから使っていきましょう。 低金利環境では、残念ながらリスクを取らなければお金は大きく増えません。次の3つの基本を守ってリスクと上手に付き合っていきましょう。 基本その1は、長期に投資することです。長期運用はお金を使おうと思った時に元本割れしているリスクを小さくしてくれます。お金は使う時までしか運用できません。何年後にどんな目的で使う予定のお金を運用しようとしているのか確認しましょう。元本割れのリスクを小さくするためには10年以上は運用したいところです。 基本その2は、いろいろな地域や種類の資産に分散して投資することです。日本の株式にばかり投資すると、日本の不景気があなたのお金を大きく減らします。日本だけでなく世界中に、株式だけでなく債券や不動産、金などにも分散して投資し、リスクが集中することを防ぎましょう。幅広く分散投資すれば株式だけに投資するよりも元本割れリスクを小さくしてくれます。10年以上といった長期に運用できないお金ほど、しっかり分散投資することを心掛けましょう。 そして基本その3は、コツコツとつみたて投資を続けていくことです。「毎月積み立てるお金は、最初からなかったものとして生活する」というのは資産形成の基本です。小さなお金でも長い期間をかけて積み立てていけば大きなお金になります。ただ、相場が悪くなれば積み立てを止めたくなるかもしれません。でも、価格の安い時期に投資することは将来の大きな成果につながりやすいものです。感情を入れずに機械的に積み立てていきましょう。 運用初心者であれば、幅広く分散投資することが難しいかもしれません。そんな時には「バランス型」の投資信託を活用しましょう。バランスよく分散投資できるよう世界中の株式や債券などを組み合わせたセット商品のことです。バランス型の投資信託だけでも数多く商品があるのですが、株と債券の比率が50%:50%を中間として、株の比率が50%より高ければリスクが高め、低ければリスクも低め、と捉えて商品を選ぶとよいでしょう。 資産運用は儲けることを考えるより、大きな損を避けることが大切です。3つの基本を守ってリスクと上手に付き合いながら楽しみましょう。1968年、山口県生まれ。生活デザイン株式会社 代表取締役、家計の見直し相談センター 代表、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会 理事。「家計の見直し相談センター」で個人向けの家計相談サービスを展開。設立以来センターの相談件数は3万世帯を超える。『やっぱりサラリーマンは2度破産する』(朝日新聞出版)、『世界一かんたんなNISAとiDeCoの得する教科書』(宝島社)など、著書多数。家計防衛に関するお役立ち情報を毎月お届けしますVol.3PROFILE新NISAで資産運用ブーム到来資産形成の基本は「長期」「分散」「つみたて」バランス型の投資信託を活用しよう知っておきたい家計防衛術リスクと上手に付き合って運用を楽しもう
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