がんばらにゃ2024年11月
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 近年、気象災害・土砂災害などが多発しています。また、今後発生が危惧されている首都直下地震、南海トラフ地震などの大規模広域災害に備え、自助・共助の役割の重要性が高まっています。 一方で、従来、地域防災力向上のために活躍していた消防団・自主防災組織などは、少子高齢化など社会の変化に伴い活動が縮小しているなどの問題(行政も同様)が発生しています。このような状況を踏まえ、地域コミュニティにおける共助による防災活動を強化する必要があります。 従来、防災計画としては国レベルの総合的かつ長期的な計画である「防災基本計画」と、地方レベルの都道府県および市町村の「地域防災計画」を定め、それぞれのレベルで防災活動を実施してきました。しかし、東日本大震災において、自助・共助および公助が連携することによって大規模広域災害後の災害対策がうまく働くことが強く認識された教訓を踏まえて、2013年、災害対策基本法に自助および共助に関する規定がいくつか追加されました。 その際、地域コミュニティにおける共助による防災活動の推進の観点から、市町村内の一定の地区の居住者および事業者(地区居住者など)が行う自発的な防災活動に関する地区防災計画制度が新たに創設されました(2014年4月1日施行)。 身近なところでも、県境をまたいで地区防災計画の策定に組り組んだ地区があります。「石川県加賀市三木地区の吉崎町」と「福井県あわら市吉崎にまたがる吉崎地区」です。2024年に発生した能登半島地震でも、策定済みの地区防災計画が役立ちました。住民主体だからこそ出典・みんなでつくる地区防災計画(内閣府)https://www.bousai.go.jp/kyoiku/chikubousai/index.html・地区防災計画とは(特定非営利活動法人 日本防災士会)http://www.bousaisikai.jp/chikubo/plan/できる県境をまたいだ防災計画の策定は、地区防災計画の新しい可能性を示唆していると考えられます。 このように、地区防災計画は行政の「地域防災計画」とは違い市町村内の商店街や小学校区、複合ビルなどのコミュニティレベルでの住人や企業などで策定してもよいのです。 地区防災計画は、義務ではない「内発性」を大切にしています。つくりたいコミュニティはつくってもいいという仕組みで、コミュニティから提案する形を取り、多様な地域の特性を反映することができます。 地区防災計画は、地域住民自身が、自分たちの命を守るために人間力・地域力・くらし方を創造していくというものです。これは「街づくり」と基本的に同じ取り組みです。できることから始め、最初から完璧なものをめざす必要はありません。近隣の方が集まり、防災ゲームで楽しむ、街歩き(散策)をしてみることも、地区防災計画の取り組みの1つです。 また、その他の特徴として、地区の居住者などが地区防災計画(素案)を作成し、市町村の地域防災計画に地区防災計画を定めるよう、市町村防災会議に提案できることもあります。福井県勝山市在住。勝山市災害ボランティアセンターオブザーバー、学校防災アドバイザーを務める。62024.11月号「地区防災計画」とは、一定の地域に住む人々が、自分たちの地域の人命、財産を守るための助け合い(共助)について、自発的な防災活動計画を策定することです。福井県防災士会 理事立平 政勝さん福井県防災士会のご協力の下防災に関するお役立ち情報を毎月お届けしますPROFILE防災Vol.6くらしに役立つ自助・共助および公助の連携身近な「地区防災計画」地区防災計画は「街づくり」「地区防災計画」をご存じですか?

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