がんばらにゃ2024年12月
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2024.12月号7今、退職の年齢が後ろ倒しになりつつあります。65歳でリタイアして年金でくらす、といったロールモデルは今後通用しないかもしれません。新しい「セカンドライフ期」に向けた筆者の考えをご紹介します。CFP®家計防衛に関するお役立ち情報を毎月お届けします 最終回となる今回は、セカンドライフ期のお金の使い方を考えましょう。セカンドライフは主に退職後の人生のことを指しますが、最近は意味合いが変わってきました。 ご存じのとおり、日本の平均寿命は伸び続けています。2023年の平均寿命は、女性が87.14歳、男性が81.09歳で、さらに伸びる余地があると言われています。これにともなって、退職する年齢も後ろ倒しになりつつあります。この先、退職する年齢が70歳を超えるかもしれません。 実際に2021年4月には「高齢者雇用安定法」が改正され、企業は「従業員が望めば70歳まで働けるようにする努力義務」を課せられました。国も高齢になっても働き続けられる環境を整えようとしています。 では、この「定年70歳」時代に、私たちはどう対応すればいいのでしょうか。当たり前かもしれませんが、「働けるだけ働く」つもりで「働けなくなった時のことも考えておく」ことが大切かと筆者は考えています。 まずは「働けるだけ働く」ことについて、考えてみましょう。 この先、単価の高い仕事を得るためには、ある程度の汎用性があり需要のあるスキルを身に付けておく必要があります。厄介なのは、そのスキルが時代によって変わっていくこと。働く期間が長くなったことで、その間に産業の構造が変わる可能性も高くなりました。もちろん例外はあるものの、1つのスキルだけで働き続けることは難しくなり、年齢問わず学び続けることが必要な時代になりそうです。 学び直しには「教育訓練給付金」をはじめとする公的な支援が活用できます。文部科学省の「マナパス」(https://manapass.jp)では、学び直しにかかった費用の支援、(※)インデックスとは指標、ファンドは投資信託のことです。インデックスファンドは株価指数などの指標に連動した運用をめざす投資信託のこと。日経平均やTOPIXなど株価や債券の指数があります大学・専門学校などの講座検索、職種別の学び直しの紹介などがまとめられています。興味のある方はぜひチェックしてください。 「働けなくなった時」の対策としては、資産を運用して、いわば「お金に働いてもらう」ことが有力な選択肢です。 たとえば、毎月3万円ずつ積み立てて、年間の利回りが平均5%だった場合、30年後には約2,496万円になります(運用益を再投資した場合)。積み立てたお金は1,080万円ですので、元本以上の運用益が得られる計算です。運用で得られた利益をさらに運用することで、利益が増幅していく「複利効果」は投資期間が長いほど大きくなります。  投資の基本は、投資先を分散させ、長期間運用すること。全世界の株式に投資できるインデックスファンド(※)が便利でしょう。長く働ける準備をしながら、長期間に渡って世界全体に投資を行っておく。そうすれば経済的に安定した高齢期を過ごせる可能性が高まるはずです。社会保険労務士井戸 美枝さん講演や執筆、テレビ、ラジオ出演などを通じ、生活に身近な経済問題をはじめ、年金・社会保障問題を専門とする。社会保障審議会 企業年金・個人年金部会 前委員。国民年金基金連合会 理事。「難しいことでも分かりやすく」をモットーに数々の雑誌や新聞に連載を持つ。『一般論はもういいので、私の老後のお金「答え」をください!増補改訂版』(日経BP)、『親の終活 夫婦の老活 インフレに負けない「安心家計術」』(朝日新書)、『フリーランス大全』(エクスナレッジ)など累計刊行92万部。PROFILEVol.6退職の年齢は後ろ倒しに学び続ける必要性長期分散投資で資産を増やす知っておきたい家計防衛術女性の働き方やライフプラン 〜セカンドライフ期〜

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