553 介護が始まってからでは、日ごろ疎遠だったきょうだいと密に連絡を取りあい、ともに協力して介護をしていくのはなかなか大変です。そこで、親が元気なうちからコミュニケーションを円滑にしておきましょう。お互いの近況や実家に行った際の親の健康状態などについての情報共有を始めておくことをおすすめします。4 どのような介護を望むか、親の気持ちを聴いておきましょう。また、終末期の医療についてもどのように考えているのか、また、延命措置を望むかどうかについても聞いておくことをおすすめします。突然倒れて、病院で「延命措置をするかどうか」を聞かれたときに、すぐに親の希望を伝えることができるようにしておくと良いです。 1 親の既往症や体調のことも気にかけていきましょう。また、室内の様子もチェックすることが大事です。寝室からトイレへの動線に障害物やコードなどはないか、風呂場の浴槽の出入りに不自由はないか、玄関などでの行動はスムーズに動けるようになっているかなど、転倒からの骨折、そして入院へ、という事態を防ぐうえでもチェックは大事です。2 親のかかりつけ医に挨拶をして、認知症の兆しや重篤な病になった場合には一緒に話を聞きたいからと、自分たちの連絡先をカルテに書いてもらいましょう。これからは、自分たちも親の健康には目を向けるという姿勢を見せていくことで、親も安心します。 ご近所さんへも挨拶して、自分たちの連絡先を伝えることも大事です。親の日ごろの姿を見ているのはご近所の方々ですから、おかしな行動をとっているなど、認知症の兆しを早くにキャッチできることもあります。また、不審な業者の車がよく家の前に止まっていたら、連絡してもらうこともお願いしておきます。悪質商法に関わってしまっているかもしれないからです。2025.1月号 子ども世代は、親が元気でいるときには、介護の心配よりも自分の生活に目が行きがちです。ですが、親はいつまでも元気でいるわけではありません。健康寿命(女性は75歳、男性は73歳)を過ぎたら、いつ介護が始まってもおかしくありません。そのための準備を始めておきましょう。 親が元気なうちに子ども世代がやっておくべきことの1つは、親の介護が始まるのを少しでも遅らせるための対策。もう1つは、介護が始まっても、安心して介護が続けられるようにしておく対策です。大きく分けて、この2つの考えに基づいた行動になります。 やっておくべき5つのことは、以下の通りです。 認知症になると預貯金の引き出しや不動産の売買ができなくなります。いわゆる資産の凍結になります。そうなる前に、認知症になっても親のお金が使える仕組みである「任意後見契約」「家族信託」について学んで、事前に契約を交わしておきましょう。お金の相談所 所長マネーセラピスト安田 まゆみさんシニアのライフプラン、おひとり様の老後マネー、親の介護問題や財産管理、相続など有料相談をメインに、執筆やセミナーなどで情報を発信。実父と舅を看取り、近年実母と姑を見送ったばかり。近著に「そろそろ親とお金の話をしてください」(ポプラ新書)、「もめないための相続前対策」(河出書房新社)がある。親の介護が始まる前の元気なうちに、子ども世代がやっておくべきことはいくつかあります。ここでは、5つに絞って、お伝えしていきます。元気が出る親の健康状態と住環境の把握親のかかりつけ医と実家の隣近所にご挨拶きょうだい間のコミュニケーションを円滑にしておく親と介護や終末期の医療のことを話す認知症になると資産が凍結されるので、事前に対策をしておく家計防衛に関するお役立ち情報を毎月お届けします〜家族信託と任意後見〜」をご紹介します次回は「お金の認知症対策Vol.7PROFILE知っておきたい家計防衛術親の介護が始まる前に、やるべき5つのこと
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