・国立医薬品食品衛生研究所・食品に関する情報−トピックスhttps://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/topics/index.htmlフェイスブックインスタグラム食情報はかたよりやすい科学に基づく情報で判断を本欄も最終回です。第1回が2012年6月号。食品添加物や農薬、微生物による食中毒、健康食品など、長きにわたって解説してきました。読んでくださってありがとう。最後は、さまざまな情報、そしてInstagramやFacebook、X(旧Twitter)、YouTubeなどソーシャルメディア(SNS)の読み解き方を考えます。これまでさまざまな情報提供をありがとうございました。松永さんの過去のコラムはこちらからご覧いただけます松永 和紀さん42025.3月号食品の安全性や環境影響等を取材している科学ジャーナリスト。京都大学大学院農学研究科修士課程修了(農芸化学専攻)。毎日新聞社に記者として10年間勤めたのち独立。『メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学』(光文社新書)で科学ジャーナリスト賞2008を受賞。2021年7月より内閣府食品安全委員会委員(非常勤)。『食品の「これ、買うべき?」がわかる本』(大和書房)を2024年12月に出版。本記事は食品安全委員会の見解ではなく、個人の判断により執筆しています。 食の情報が、「○○はこのように管理され安全」という内容よりも、「××が危ない」というほうが広がりやすいことは、みなさんも気付いているでしょう。安全情報は、その食品について何も気にしなくてよい、ということなので、わざわざ覚えたり、だれかに伝えようとはなりません。一方、危険情報は自分自身が注意するためにしっかり覚えますし、友人にも伝えなければ、となります。友人からも感謝されるでしょう。 こうした理由により、危険情報、不安を煽る情報のほうが、強い影響力を持ち拡散しやすいのです。科学的には明らかに間違った情報が、検証されないまま広がります。 SNSの性質もその傾向に拍車をかけています。総務省の2023年度情報通信白書によれば、人は「自らの見たいもの、信じたいものを信じる」という「確証バイアス」という心理的特性があります。SNSの事業者はデータを駆使して、利用者に合った「見たいもの、読みたいもの」を出してくれます。これを繰り返すことにより、私たちは、興味のある情報にしか触れなくなる「フィルターバブル」に陥ります。そして、自分と似た興味や関心を持つ人たちが集まるネット上の場でコミュニケーションをとる「エコーチェンバー」状態になります。そして、何度も同じような意見を聞くことで、それが正しく、間違いのないものであると、より強く信じ込んでしまうのです。 SNSを利用していない人も、家族や友人から「SNSで見たんだけど……」と話をされることがあるでしょう。だれもがその問題点から逃れられない状態になっています。 だからこそ、情報に気を付けてほしい。これまで繰り返しお伝えしてきたように、まずは国や自治体などの科学的根拠に基づく情報を見てほしい、と思います。各国の食の安全は今、「リスクアナリシス」という仕組みで動いています。透明性を持って情報を共有しながらリスク評価やリスク管理を進めることが重視され、各国や国際機関が情報を発信しています。だれもがそれを突き合わせて検討できるので、日本政府だけが消費者にウソをついたりごまかしたりすることは不可能です。 公の情報を確認したうえで、市民団体や企業の出す情報を得たりSNSで自由に情報交換もしてほしい。生産者や加工、流通、小売などの事業者、そして生協も、消費者に安全な食品を届けようと頑張っています。多くの関係者に感謝しながら、さあ、美味しい食事をいただきましょう。PROFILE食品安全について確認してほしい情報源・内閣府 食品安全委員会 https://www.fsc.go.jp・消費者庁 https://www.caa.go.jp・厚生労働省・食品https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/index.html・農林水産省 消費・安全局https://www.maff.go.jp/j/syouan/index.html・日本生活協同組合連合会・安全と安心の取り組みhttps://jccu.coop/activity/safety/食の安全・安心Vol.65【最終回】情報のかたよりに注意し美味しくいただきましょう
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