福井の酪農家からのメッセージ

福井の酪農家を応援しよう!牛乳キャンペーン

福井の酪農家をご紹介

やさしい味わい福井県産牛乳

やさしい味わい福井県産牛乳」は福井県内の牧場から集めた、生乳だけでつくられています。
牛乳は需要に合わせて生産量を短期的にコントロールすることができません。これからも新鮮で美味しい牛乳を飲み続けるために、日頃から牛乳や乳製品を消費して酪農家さんを応援することが大切です。

 現在、生産者の高齢化や穀物飼料の高騰などにより、全国的に酪農家数が減少しています。福井県でも25年前の72戸から20戸(2022年1月時点)になるなど、3分の1以下まで激減しています。そうした中、地域の農家とつながりながら耕畜連携(※)で安全・安心な牛を育てている県内の酪農家のみなさんにお話を伺いました。
(※)耕作農家が飼料作物を生産して畜産農家に提供し、逆に畜産農家が耕作農家へ堆肥を供給して連携を図ること

高原の牧場で足腰の強い丈夫で健やかな初妊牛に~奥越高原牧場~

 六呂師高原に広がる、標高約600mの奥越高原牧場では、約230頭の牛を育てています。そのうち約140頭は、県内酪農家から買い取った育成牛(育成牛とは、離乳する生後2ヶ月頃から生後18ヶ月頃までの牛のこと)です。牛舎で過ごす冬季以外は、約100haもの広大な牧草地で放牧。約2年かけて足腰の強い丈夫な体をつくり、生後16か月頃には人工授精で妊娠させて分娩の2ヶ月程前に酪農家に譲渡しています。

飼料づくりから研究まで酪農家を幅広くサポート

 奥越高原牧場の業務は、育成牛の飼養以外にも多岐にわたります。広い牧草地を活かした冬期間の飼料(ロールサイレージ)の生産をはじめ、受精卵の供給、乳房炎予防技術の確立や生涯生産性の向上のための研究、子どもたちの体験学習や、観光への貢献なども大事な役割。頼れる相談役としても県内酪農家を幅広くサポートしています。

「牛乳を飲んだ人からの〝美味しかったよ〟の声が、酪農家にとって一番の喜び」と微笑む八木さん。やさしい味わい福井県産牛乳は、県内酪農家から集められた生乳を日本酪農協同株式会社 滋賀工場に運び、製品化しています。牧場でのびのび育った健やかな乳牛から搾られた福井育ちの美味しさを、ぜひ味わってください。

奥越高原牧場(勝山市) 牧場長 八木 保善さん

父子2人、仲間と協力し奥越の酪農を守り続ける~杉原牧場~

 大野市の郊外で24頭のホルスタイン種の乳用牛を飼育する、杉原牧場。杉原由剛さんは現在、創業者の父親と2人で牧場を営んでいます。毎日の仕事は、午前3時にスタート。餌やりや搾乳、牛舎の掃除などを行い、休憩を挟んで午後6時半頃に1日の作業を終えます。
牛舎の掃除を行いながら、牛の様子を細やかに観察していく杉原さん。「いつも通りが一番大事。ちゃんと餌を食べているか、普段と違う行動をしていないか、小さい子がたくさんいる母親みたいな感じでお世話しています」とニッコリ。

 牛を育てる中で「一番気を張るところ」という飼料には、自家栽培のスーダングラスなどの牧草や、稲を乳酸発酵させたものを取り入れています。「稲は奥越農林総合事務所の職員さんに紹介していただいた水稲農家さんと年間契約しています。奥越エリアの酪農家さんとも月1回集まって情報交換を行ったりしているんですよ」と地域の交流を語ります。

 「昔は奥越に数多くあった牧場も、今では8戸になりました(2022年3月現在)。地元の農家さんみんなとつながって続けていけるようにと思っています」と未来を描く杉原さん。「そのためにも、美味しい生乳を県内の牧場でつくっているということを、もっとたくさんの人に知っていただきたいですね」と熱く語りました。

杉原牧場 杉原 由剛さん

フリーストール方式採用ノンストレスで牛を飼育~森國牧場~

 福井市西部の住宅街を抜けた、日野川のほとりにある森國牧場。1200坪の敷地に、ホルスタイン種の乳用牛を80頭飼育しています。飼育方法は、牛をロープにつながず、自由に歩き回って、好きなときに餌を食べ、眠ることができるフリーストール方式というもの。
2代目の森國善幸さんは「餌やりが1日1回で済む、効率の良い飼い方にしたかったんです」と語ります。牛は飼育舎内で自由に食事や睡眠などがとれるため、ストレスが溜まりません。さらに、飼育舎には1日3回稼働する自動清掃装置や夏場の暑い時期に涼感を与えるミスト発生装置などを設置。

搾乳は搾乳棟で行い、コンピュータ管理で量を正確に把握しています。「健康な牛から品質の良い生乳が出るので、少しでも健康に飼いたいというのが基本。毎日、牛の観察は怠らないようにしています」と言う森國さん。

 良質な乳質を保つため、飼料にもこだわりが。搾乳牛の主食となる干し草や福井県産の青刈りの稲などの牧草類、トウモロコシや大豆粕をはじめ福井県産コシヒカリなどを粉末状にした穀物類、そのほか地場産の粕類やビタミン・ミネラル類に水を加えて攪拌機で混ぜた餌は、牛の食欲が増すのだそう。「主食とおかずのバランスが大事。ほかにも、若いときからのつながりを活かし、近隣の農家さんから出る規格外の新鮮な野菜や、越前町の豆腐屋さんのおからなど、通常廃棄されるものを飼料に用い、バランス良くあげています」と笑顔で語ります。

森國牧場 森國 善幸さん

優秀な血統と自家牧草で地域に貢献できる牧場に~田嶋牧場~

 田嶋牧場の田嶋敏さん、和恵さんご夫婦は、あわら市の丘陵地で65頭のホルスタイン種の乳用牛を育てています。3代目の田嶋さんは、北海道の帯広畜産大学で畜産を学び、卒業後しばらく十勝の大牧場で働いた経験を持ちます。
「牛の乳質にこだわっていて、優秀な血統をかけ合わせる人工授精で〝田嶋牧場のホルスタイン〟をつくっていけたら」と語る田嶋さん。生まれた牛には識別番号以外に独自で名前を付け、血統と個性を把握。「名前を付けると愛着も湧きますね」とやさしく微笑みます。

 「餌によって、生乳の風味や味は変わります」と語る田嶋さん。約8haの牧草地で、自らイタリアンライグラスやソルガムを栽培。自家牧草、地場産の飼料用米、市内の豆腐屋で分けてもらったおから、栄養バランスの良い配合飼料などを組み合わせた餌を与えています。「地場産の餌をあげることで脂肪分が濃くなり、牛乳の風味が増したように思います」と手応えを感じています。

 田嶋牧場は『酪農教育ファーム』の認証を取得し、学校や教育現場と連携して食といのちの学びを支援しています。「子どもたちに福井にもこういう牧歌的な牧場があることを知ってもらい、牛乳を飲んでもらうきっかけになれば」と語ります。

田嶋牧場 田嶋 敏さん