女性の働き方やライフプラン 〜子育て期〜
子育てにかかる費用の多くは「教育費」です。
ピークを迎える大学入学時に合わせて、計画的に準備をすることがポイントです。
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今回は、子育て期間中のお金の使い方を考えてみましょう。
子どもの幼少期は、公的な支援が充実しており、比較的お金はかかりません。たとえば、出産時にかかる費用は、出産育児一時金や妊婦健診費の助成などによって、自己負担額はほとんどありません。その後も、各自治体が実施している、子どもの医療費助成などが利用できます。自治体によって支援の内容は異なるものの、費用の多くは公的な支援でカバーできるでしょう。
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一方で、教育費については計画を立てておく必要があります。進学先によって異なりますが、教育費の総額は、幼稚園から大学まですべて公立に通った場合で約800万円。中学校以降に私立文系に通った場合は、平均約1,700万円~2,000万円の費用がかかります。
教育費のピークは大学入学時に迎えます。国立大学では1年目に81万7,800円(授業料 53万5,800円+入学金 28万2,000円)が必要となり、4年間の総額は約240万円(※1)。私立大学(文系)では、入学時に平均約120万円(授業料 約96万円+入学金 約24万円)、4年間で約410万円の学費が発生します。理系の学科に進学したり、下宿する場合はさらに費用が高くなります。
(※1)国立大学の授業料は、その2割増まで各大学が決めることができます。最近は物価高騰の影響もあり、授業料を引き上げて上限64万円の授業料になっている大学もあります。余裕を持って用意できればベストです
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大学の学費対策としては、児童手当を使わず貯めておくのが一案です。
2024年10月改正後の児童手当の支給額は、3歳未満の子どもは15,000円/月、3歳から高校卒業まで10,000円/月(第3子以降は0歳から高校卒業まで15,000円)。受給総額は出生月で異なりますが、18年間で約234万円になります。国立大学であれば、4年間の授業料はおおむねカバーできる計算です。独自の給付を出す自治体にお住まいであれば、さらに上乗せが期待できます。
教育費は必要になる時期が事前に分かるので、計画的に準備をしましょう。
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また、少子化対策として、国の学費支援策が拡充されつつあります。家族構成によって変わりますが、世帯年収が約910万円未満であれば「高等学校等就学支援金制度」が利用でき、国公立高校の授業料は実質無料に(※2)。大学の学費も保護者の年収が約600万円までであれば、授業料の減免や給付型奨学金を受けられます。
世帯によっては、上記ほど教育費がかからない可能性もあります。学費支援策は今後も拡充される可能性がありますので、チェックしておきましょう。
(※2)福井県では教育費負担の一層の軽減を図るため、国の就学支援金制度とは別に、県内私立高等学校及び高等課程を有する私立専修学校を対象に独自の授業料等減免補助制度を設けています。詳しくは、県のホームページなどをご覧ください
PROFILE
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CFP®
社会保険労務士 井戸 美枝さん -
講演や執筆、テレビ、ラジオ出演などを通じ、生活に身近な経済問題をはじめ、年金・社会保障問題を専門とする。社会保障審議会 企業年金・個人年金部会 前委員。国民年金基金連合会 理事。「難しいことでも分かりやすく」をモットーに数々の雑誌や新聞に連載を持つ。
『一般論はもういいので、私の老後のお金「答え」をください!増補改訂版』(日経BP)、『親の終活 夫婦の老活 インフレに負けない「安心家計術」』(朝日新書)、『フリーランス大全』(エクスナレッジ)など累計刊行92万部。
Ganbaranya(がんばらにゃ)2024年11月号より
#くらし
2024年11月