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「遺伝子組換えでない」表示 4月から変わります

遺伝子組換えの表示制度が2023年4月1日から新しくなります。これまで、多くの食品に「遺伝子組換えでない」という表示が入っていましたが、これまでよりも厳しく運用されます。

義務表示は変わらず

 遺伝子組換え技術が用いられた農産物(大豆やとうもろこしなど9種類)や、それらを原材料に作られた33の加工食品群(豆腐や納豆、コーンスナック菓子など)は、容器包装に必ず「遺伝子組換え」と表示しなければなりません。また、遺伝子組換え農産物と分けずに生産し運んだ農産物やそれを原材料に用いた加工食品は、容器包装に「遺伝子組換え不分別」などと表示します。これらは「義務表示」と呼ばれ、以前からルールは変わりません。

「遺伝子組換えでない」は意味が変わる

 一方、事業者が自主的に任意に表示する「遺伝子組換えでない」という表示は、4月1日から大きく変わります。従来は、非組換え品種を組換え品種と分別して生産流通管理を行い、意図せざる混入(栽培や流通の過程で避けられない混入)が5%以下であるものについては「遺伝子組換えでない」と表示できました。しかし、4月からは、分別生産流通管理を行ったうえで、組換え品種の混入がないことを確認していないと表示できません。混入がないことを確認する手法としては、次のような内容が消費者庁から示されています。

  1. ①第三者分析機関が検査し検出なしの結果が出た
  2. ②海外の産地で混入がないことを確認した農産物を専用コンテナなどで輸送、製造者の下で初開封したことを証明できる書類がある
  3. ③国産品または遺伝子組換え非生産国で栽培されたもので、生産、流通過程で混入がないことを確認したことを証明できる書類がある
  4. ④生産流通の各過程で混入がないことを証明する書類がある

 これ以外のもの、遺伝子組換え品種と分別生産流通管理をしており、意図せざる混入は5%以下に抑えているがゼロは保証できない製品については、4月以降は「分別生産流通管理済み」などと表示することになります。輸入農産物を原材料とする場合、全工程で混入を完全にゼロにするのは容易ではないので、小売りされる多くの製品は、「遺伝子組換えでない」という表示をやめ「分別生産流通管理済み」などの表示に切り替えています。

組換えと非組換え 安全性は同等

 今回の制度変更は、消費者団体などの間で「遺伝子組換えでない、と書かれていると、ゼロだと受け止めてしまう。実際には5%以下の混入があるかもしれないのだから、それがわかるように表示してほしい」という声が高まったことを受け、行われました。なお、遺伝子組換え農産物は、内閣府食品安全委員会が安全性評価し、従来の非組換え農産物と同等に安全であることを確認しています。

任意表示の例

表示例 意味
•遺伝子組換えでない
•非遺伝子組換え など
分別生産流通管理を行い、遺伝子組換えの混入がない
•大豆(分別生産流通管理済み)
•大豆(遺伝子組換え混入防止管理済) など
分別生産流通管理を行い、遺伝子組換えの混入を5%以下に抑えている

遺伝子組換え品種のない農産物や水産物などについて「遺伝子組換えでない」などと表示することは禁止されている

PROFILE

松永 和紀さん写真

松永 和紀さん

食品の安全性や環境影響等を取材している科学ジャーナリスト。京都大学大学院農学研究科修士課程修了(農芸化学専攻)。毎日新聞社に記者として10年間勤めたのち独立。「メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学」(光文社新書)で科学ジャーナリスト賞2008を受賞。2021年7月より内閣府食品安全委員会委員(非常勤)。本記事は食品安全委員会の見解ではなく、個人の判断により執筆しています。

Ganbaranya(がんばらにゃ)2023年4月号より

#食

2023年4月